Tsu-mu-gu 卒業生からのメッセージ


つむぐ〔紡ぐ〕
Tsu-mu-gu
つむぐとは、綿や繭から何本もの細い糸を拾い上げ、縒りあわせて一本の木綿糸や生糸にしてゆくことです。
例えば、自分の気持ちを大切に、ひとつひとつの言葉を拾い上げて話すことを「言葉をつむぐ」と言います。
松原高校を卒業した私たちは、今、一本の糸をつむいでいます。
その時、人の気持ちや痛みを拾い上げること、世界に思いをはせること、そして、自分から動くことを忘れずにいます。
私たちは、同じ場所でその大切さを学びました。
その場所を巣立った私たちからの言葉を届けます。


山地真輔
救急救命士・消防士
松原市消防本部
23期生(総合学科1期生)
高校時代は、硬式野球部の副キャプテン。
神戸医療福祉専門学校卒業後、救急救命士国家試験に合格。
地元消防署で地域の人々の命を守る。


中学の時に大切な友だちを亡くし、人の命を救う仕事がしたいと思い続けた。松原高校に入って救急救命士という仕事を知り、それを目指すと決め、「看護」や「スポーツ」の選択授業、そして野球に打ち込んだ。今、救急隊や消防隊の隊長をしているが、隊員どうしは命を預ける相手であり、そのためにはチームワークが何よりも重要だと思う。仲間がいてこそ現場に入っていける。
高校でつかんだ野球部の仲間との絆はそこでも生きている。
自分で何をしたいかを見つけられるところ、それが松原高校。


吉村京子
大阪府立急性期・総合医療センター看護師
26期生(総合学科4期生)
高校では看護の選択授業や「るるく」で活躍。
美原看護専門学校卒
当病院で8年目。現在は腎臓高血圧・糖尿病代謝内科。


オペ後の回復が難しいと思われたご高齢の患者さんが、最初なかなか歩かなかった。手を取って支えるなかで、最後は自分で歩かれるように「あなたのおかげです」という言葉を下さり退院された。気持ちを持って看護すること、そして、チーム医療の中での看護師の役割、コミュニケーションの大切さを感じている。
松高でいろんな人と出会い、いろんなことを考えた。HIVエイズや感染症のことも「るるく」の活動でしっかりした考え方を持てた。
松高が一番楽しかった……そして私の「今」に絶対生きている。


原田大二郎
「Cafe Slow」フロアマネージャー
26期生(総合学科4期生)
卒業後、フランスへ1年間留学。
その後ピースボートの旅、愛地球博スタッフを経て東京のオーガニックカフェ「Cafe Slow」スタッフ。
キャンドルナイトやap bank fesへの出店に関わる。
カフェをつながりや発信の場として脱原発やスローライフのメッセージを届ける。


座右の銘は『Be the Change!』これは「変えたいのなら変化になろう!」という意味だ。ピースボート地球一周の船旅で地球の美しい景色に出会ったとき、自分たち日本に住む者の大量生産、大量消費、大量廃棄の暮らしが地球温暖化を進め、地球の裏側に住む人たちを悲しませていることを本当に知った。そのときから「エコロジーと平和に関わること」をライフワークにしていく決意をした。「つながり」「発信すること」の原点は松高にあった。持続可能な社会を一緒に作っていきたい。


西村 愛
ラジオDJ
24期生(総合学科2期生)
セイ・プロダクション所属
大阪スクールオブミュージック専門学校卒
α-station(FM京都)
「DELICIOUS DONUT(木)」
「KYOTO MUSIC SHELF」
ラジオ関西「musica☆musica」
サンテレビ「BIG TIME TELEVISION」
JFL「SAGAWA SHIGA FC」スタジアムDJ。
自身のイベント「ハッピーラッシュ♪♪♪」も続けている。


世界のいたるところ、ライブハウスや路上にもステキな音楽があふれている。その作り手の想いを伝えられるように「愛ちゃんの番組だから聴きたい」と信頼される存在になり、音楽を通じてハッピーをつくり出すひとになりたい。松高の時、「産社」「課題研究」でラジオ関係の出会い、DJオーディションに応募したのが始まり。
きっかけは全部松高であり、私の今を作っている。
今改めて出会いに感謝することを忘れず生きていきたい。
そして想いを伝えることの大切さを後輩にも知ってほしい。


一色浴果里
ウェディングプランナー
(株)Plan・Do・See
THE SODOH HIGASHIYAMA KYOTO
バンケットマネージャー
23期生(総合学科1期生)
大阪芸術大学卒業後、デザイン事務所で商品開発に携わる。
マザーアースエデュケーションの一員としてファシリテーターを学ぶ。
Plan・Do・See就職後、新たなウェディングを提案しマネージャーに就任。


オリジナル挙式ダーズンローズセレモニーをお客様と作ってきた。今、自分が部下を持ちマネジメントする立場になって感じることは、言われたことは100%出来る人はいても、自ら考え行動できる主体性が教育現場で育まれていないということ。正解・不正解以外の大きな学び、プロセスを大切にする本当の学びをカタチにしたい。
私は松高で人生が変わった。自分らしくいるということ、自分を信じて突き進む勇気を与えてもらった。松高で出会った先生、仲間は私の誇り。だから、私は、いつでも100%で人と向き合う。


和田桃香
大学院生・名古屋大学大学院国際開発研究科
30期生(総合学科8期生)
同志社大学政策学部卒業。
高校でのスタディツアーなどの経験から人権や開発を考えて大学進学。
大学在学中にバングラデシュの女性支援プロジェクトを立ち上げる。
2011年9月、約1か月バングラデシュに滞在して調査を行う。
開発途上国のジェンダーとエンパワメントをテーマに研究。
日本IBM株式会社に就職内定。


バングラデシュの女性たちが、マイクロクレジットによって社会に進出し、人権や教育に目覚める姿を見てきた。たとえ貧困で識字率が低い地域でも、環境が変われば出来ないことが出来るようになると思う。女性や子どもや社会的に弱い立場にある人のために力を尽くしたい。自分にもできないことがたくさんあったが、高校では周りから背中を押してもらった。そして、大学では勇気を持って行動している。でもそれは松高や家族という帰る場所があるから。
リチャージ(燃料補給)してまたトライできる。


垣貫紀彦
NGOスタッフ
ピースボート災害ボランティアセンター東京本部
26期生(総合学科4期生)
大学在学中に「地球一周の船旅」ボランティア・クルーズに参加。
世界の多様性や貧困問題に触れ、帰国後ピースボートスタッフに。
札幌、名古屋の事務局長、共同代表を務める。
現在は、東日本大震災をきっかけに災害ボランティアセンターで被災地支援ボランティアの送り出しを行う。


僕が訪れた世界のスラム街では、教育は貧困から抜け出す、もしくは解決する手段だという事を知った。東北の復興も含めて世界には解決しないといけないことが山積みの今、自分と周りの人が尊厳を持って生きている社会の形にしたい。その社会は自分だけでなく、自分の子供や孫、その又孫、その……が生きる社会のはずだ。
人と出会うこと、自分で選択して生きること、そして、人と何かを作り上げる喜びを学んだ場所。今思えば、それが松原高校だ


片寄香織
保育士
ひまわり乳児保育園
26期生(総合学科4期生)
高校では保育系授業や「課題研究」に熱心に取り組む。
大阪教育福祉専門学校卒業。
現在の保育園へ勤めて8年目、今年は1歳児を受け持つ。


保育士はずっと人と一緒にいる仕事。しんどさを抱えていて、それをうまく出せない子の、もやもやしているものを受けとめてきた。
障がいがあって、なかなか言葉が出ない子がいた。3年間受け持った最後の年にお母さんと相談して、サイン(手話)を使う事にした。やりとりを重ねて、通じ合った瞬間は、鳥肌が立った。
親と一緒に喜びあった時、少しは支えになれたのかなと思う。
高校では「保育」や「絵本」の授業で仲間とも励ましあえた。
"ぎゅっ"てまとまれる場所、それが松原高校だと思う。


金谷元気
広告代理店ギャラクシーエージェンシー代表
27期生(総合学科5期生)
高校時代、サッカー部キャプテン。
実業団ディアブロッサ高田FCキャプテン、ザスパ草津FC練習生、情報通信会社社員を経てギャラクシーエージェンシーを自ら設立。


サッカーに打ち込んだ後、自分も24歳で起業した。フェイスブックなどの広がりで世の中が変わってきた。世界一影響力のあるネット企業を夢見て、本気で社員と目標を共有している。現在は求人情報のサイトを中心に仕事を広げている。お客さんが会社に就職できて、マッチングに成功した時とても感謝されること、それがやりがい。マネジメントは今思うと高校サッカー部の時から始めていた。
松原高校は個性や一人ひとりの創造性を大事にするところがありがたい。やりたいことは近くにある、それが見つかるところだ。


野村 歩
ヘアスタイリスト
Hair's Gallery SAKAI店
26期生(総合学科4期生)
グラムール美容専門学校卒業。
Hair's Gallery堀江店に勤める。
アシスタント時代にカメラワークなど幅広く学び、23歳でスタイリストデビュー。


ヘアスタイルはその人の生活の一部。その生活に幸せを広げていくためのお手伝いをしたい。そのためには人としてお客様に向き合うことが大切。抗がん剤治療のお客様に、精一杯おもてなしをした。ウィッグをあわせてから、そのあと生えてきた大切な髪のケアを私が担当した。何度も通われて、きれいに見えるようになった時の、お客様の「ありがとうございます」の言葉は忘れられない。
松高は私の基盤。人を大事にする。誰かが困ってたら元気づける。みんなの力を一つにする。それはサロンでもしっかり生きている。


伊藤 誠
銀行業務
三井住友銀行グループSMBCグリーンサービス(株)社員
23期生(総合学科1期生)
桃山学院大学文学部国際文化学科卒業。
芦原高等技術専門学校を経て現在の職場で8年目。
業務部事務集中部門で働く。


一番大きかったのは、改良された電動車椅子に乗るようになったこと。筋ジストロフィーの自分が出来ないところをカバーしてくれて、さらに自由に出ていけるようになった。今、銀行のお客様の書類の電子情報化という大切な業務に大切な業務に取り組んでいる。様々な障がいのある人と同じ職場なので、どんな人にも分かりやすい仕事のマニュアルを作っている。そこは松高の雰囲気がベースに出来ているのかもしれない。助け合いというか、壁なくつき合う事が、自然だったから。
考えて行動することや、色々なことに自分からチャレンジすることも高校で学んだ


松江寿士
介護福祉士
浅香太鼓集団「獅子」メンバー
23期生(総合学科1期生)
社会福祉法人あさか会小規模多機能ホーム「夢家」職員。
天宗社会福祉専門学校卒業後、ヒューマンライツ福祉会に就職。
障がい者介護や就労支援に取り組む。2010年より現職。
地域の和太鼓活動を20年以上続け、人権や共生の鼓音を響かせてきた。
2011年9月には被災地福島県南相馬市で復興支援の演奏を行った。
差別されること、排除されることはおかしい。自分がそうなら人もそうであるはず。だから、しんどそうな人がいたらここで声をかけたいと思ってしまうし、一人の人間の人生に関わる仕事を続けたい。地域の「宝」になってきた『獅子』だが、人権啓発に責任持って活動すること、相手の立場や思いをくみ取って言葉を伝えることを忘れたくない。松原高校は、人権について考える学校であり続けてほしい。それが自分の中では松高の一番いいところ。生き方を自由に考え、誰かと一緒に道を作っていける場所であってほしい。

タテ糸とヨコ糸を織りあげると一枚の布が出来上がります。
その大きなあたたかい布で誰かを優しく包むことができれば素敵だと思います。
あなたも「つむぐ」仲間になりませんか。
Tsu-mu-gu第1集
2011.11.1
大阪府立松原高等学校同窓会
Tsu-mu-gu編集委員会

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